私のブログ

こどもの事とか虫の事とか

5歳の息子が運動会で走って踊って躍動したのでうひょーってなりまシタ。

 
息子が保育園に通いだしたのが、1歳7ヶ月の頃。あれから早いもので4年近くが経ち、今ではもう5歳のおにいちゃん。そして4度目の運動会。
 
思い起こせば、1歳児クラスの頃の運動会というのはあえていうならば、我が子のかわいらしさの再確認のようなところがあって、先生の踊りに反応して手をパチパチと叩いてみたり、パタパタと走ってみたりする息子のそういう姿を、ああ何てかわいいんだ!と、そんな乳児らしいぎこちない動きにキュンキュンなってとにかくシャッターを切り続けていた運動会だったように思います。
 

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それからクラスが上がっていくたびに子どもたちにもできることが増え、3、4歳児クラスにもなると、今度はかけっこや障害物競走をするようになります。そうすると、息子は私に似てしまったせいなのか運動が苦手なものですから、いつもビリだったり、あるいはその競技をやり遂げられずに先生の手を借りてゴールまでお世話をしてもらうという恒例の運動会になっていきます。良いのか悪いのかはともかくとして、それでも息子らしいそんな姿をこの頼りない脳みそにしっかりと刻み込みながらこの4年近くを共に歩んできました。
 

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そして今年の運動会。もともとは先週の土曜日の予定だったのですが雨で延期となり、その影響もあってなのか、例年に比べ人も少なく、園庭を囲む観覧席にもちらほらと空きがあり、運良く前列に私たち夫婦が座れるくらいのスペースがあったので、一度くらいは良いよねと、はじめて最前列で息子の運動会を体験することに。
 

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プログラムによると息子たちの出番は4回。種目は体操、かけっこ、踊り、障害物競走。
 
今までの運動会を見る限りなんとなく予想がつく種目でもあるし、踊りなどは4歳の時のお遊戯会同様に舌を出してクネクネしながら恥ずかしがって、私たちをキョロキョロ探し出したりするのがオチだろうなあ、なんて思っていました。
 
ところが、最初の体操で息子のクラスが入場し、子供たちがそれぞれの位置へつき、そして音楽が流れ出すと、息子の顔が急にキリリと変わり、かと思うと、今度は膝をしっかりと曲げ、肘や指先をピンと伸ばし、リズムに合わせてジャンプをするのです。え、うっそ。真剣な顔してる...
 
最前列で観覧する私との距離は約5、6メートルほど。息子も踊りながら私に気づき、目が会うと「ぼくじょうずにできてるでしょ?」と言わんばかりの小さな笑顔を向けてきます。上手にできてる。真剣にやってる。そんな姿はじめて見たよ。やるじゃん。そう思って、私もシャッターを切りながら、同じ子どもとは言え5歳という年齢は今までとは少し違うのかもしれないなあと、新たな息子の一面に感心していたのです。
 

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次の種目はかけっこ。3人ひと組で走るそうです。
さあ、どうだ。今まではいつもビリだったけど今日の息子は違うかもしれない。とにかく腕をしっかり振って、最後まであきらめるな。がんばれ。いつもの運動会であれば息子同様に私もヘラヘラなっているところですが、さっきの体操を見せられるとさすがに力が入ります。
 
ところが先生のよ〜いドン!の掛け声の後すぐに息子は出足が遅れてしまい、いきなり2人に大きく離されてしまいます。わわわ。結局、どんどんと開いていく数メートルを最後まで埋めることはできず。今年も残念ながら...ビリ。でも最後まであきらめずにちゃんと走りきっていたし、いい顔してた。今日のビリはサイコーのビリだ。ほめてます。
 

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私はもうこの時点ですでにお腹がいっぱい。
運動会ではじめて見る息子の真剣な顔。それが見れただけでもうじゅうぶん。そんな感じだったんです。
 
ところがこれだけでは終わりませんでした。
 
3つ目の踊りの番になると息子たちは金色のボンボンを手に持ち、首に鮮やかな色のスカーフを巻いて走りながら登場してきます。
 

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するとなんだかもうお腹いっぱいの私はこれ以上カメラで記録する必要なんてないような気がしてしまい、とにかくそれよりも息子の姿をこの目にしっかりと焼き付けて帰りたいような思いでもう一度居住まいを正し、そしてカメラを膝に置くことにしました。
 
進行役の先生からの「それではごらんください!」の挨拶のあと、20人の園児たちが一斉に園庭に広がっていきます。
 
演奏に合わせて踊る20人の園児たち。ほんとうにかわいらしい踊り。
 
息子も手に持ったボンボンを振りながら、足を前に出してしっかりと伸ばし、両の手を思いきり広げ、他の園児たちとの息の合った踊りを見せてくれます。最初の体操の時と同じくらいの位置で踊っていた息子と私との距離は近く、ときどき前に進んだり下がったりしながら踊るので、その距離が縮まるたびに息子と目が合います。
 
その目には、見てもらえてうれしい、見せたかった、ほら上手にできてるでしょ?膝もちゃんと曲げてるし、手もちゃんと伸ばしてるよ。ジャンプだってこんなに高くできるんだよ。だってがんばったんだよ。そんな思いが入っているような気がしてきて、気づいたときには私の口角のあたりが引き攣りそしてぶるぶる震えて止まらくなってきたのです。やばい。涙腺はがっちり結ばれているか、もうすでにカラカラなんだと自負しているほどにしばらくは泣いたことなんてなかったのに。結婚の時だって、カブトムシが孵化したときだって、ニジイロクワガタが卵を30個産んでくれたときだってそう。育てた蛾が蛹になってさあ産まれるかって見守ってたら出てきたのが寄生虫だったときだって一粒だりとも涙なんてものは落ちてはこなかったのに。うひょー。もう耐えられん。実はどんなときでも意外と冷静というか、悪く言えば冷めているところがあって、感情で何かを判断することも普段からほとんどないしで、ましてや園のお父さんやお母さんともあまり親交がないようなそんな私が突然下唇突き出してぶるぶる震えて背筋だけピンと伸ばして泣いている姿を客観視するたびにこれは私ではない一旦やめえ。ハンケチ!って。
 

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でも息子の顔をもっと見たい。ボヤける視界を拭い、ブルブルさせながら背筋を伸ばして数分間をじっと耐えます。いや、全く耐えきれてないんですけど泣いていてはダメだって、そうやってもう一度自分に言い聞かせるために気合を入れ直そうとすると、今度は途端に息子との思い出がぶわーっと溢れ出てきて、そういえば保育園で何度スキップの練習をしてもできなくて、もうやんないってスネてたな、公園でジャングルジムに登れなくて1段目からなかなか進まずにいたら2歳くらいの子が後からやってきて息子を抜かしててっぺんまで簡単そうに登っていくもんだから「もうやめた」ってスネてたな、かけっこをしても自分の足にからまってこけて膝を擦り剥いて「できないっ」ってスネてたな、スネ夫だな。って。思い出がかけ巡っていきます。
 
でも今は違う。全然違う。私も見たことのない息子がたった数メートル先で躍動しまくってる。息子か?息子だ!私の息子だよー、うひょーって、また同じ繰り返しをしてしまい、結局ほとんど息子が何をやってたか覚えていません。カメラは膝の上で記録も無い。なんて運動会だ。
 

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成長、成長と何かをできるようになるたびに言ってきたけど、そして私が息子より前に出るようなことがないように、なるべく支えに徹しようと心がけてきたけど、今となってはそんなこともあったよねと、あの時代を懐かしむような思いで胸がいっぱいになります。
 
息子はちゃんと自分自身で考えて、保育園での練習もこなして、照れるでもスネるでもなく、その成果を見せようとがんばってくれた。産まれた時から近くで息子を見てきたからこそ、息子という人はだいたいこんな感じなんだろうななんて思い切ってしまっていたけど、そうじゃない、ぜんぜんそんなことなくて、息子は息子の判断で如何様にでもなっていくんだなってことが、そんな当たり前のことが5年も育児をやってきて、息子の運動会ではじめて思い知らされたような気がしました。子どもってすごいなあ。私もこんな風だっただろうか。
 
最終種目の障害物競走の時には、もうこれ以上は最前列で見てられんってことで正門の前の人だかりの一番後ろにまわり、例年通りの指定席から息子の走りを見守ることにしました。 ゆっくりとはいえ、息子がひとつひとつの障害を超えていくたびにそこには新しい息子が現れ、そして最後の登り棒を何度かの失敗の後にあきらめず登りきる瞬間、私は鼻先をつまんで伸ばしながら、ん゛ーん゛ーって声を出して必死に決壊を防ぎにかかる作業で忙しくて見てられませんでした。なんて運動会なんだ。
 
でもほんとによくがんばった。
 
ご褒美というのかお礼というのか、今日ばかりはとにかく何かしてやりたくなりました。でもおもちゃとかじゃなくて、とにかく美味しいもの、とにかくお腹いっぱいパンケーキでもチョコケーキでも食べたまえと、運動会が終わった後に息子に何が欲しいかを聞いてみたところ、それではファミリーレストランへ行きましょう、となり久しぶりに家族揃っての外食へ。
 
ところが、5年と数ヶ月の質素な生活を当然のように過ごしてきた息子が頼んだものは一番安いお子様ランチ。ワッツ、もっと頼みたまえよ。ほら、お給金も入ったばかりだし、照り焼きピッツアにデミグラソースのやわらかハンバーグにフライドポテトもあるぜよ。とろとろ卵のオムライスだってほらー。と何度かの説得を試みてはみたものの、改めてまっすぐに私を見据える息子が「おこさまランチでいいっす」と言うものですから仕方ない。結局はそれを尊重し、時々来るファミリーレストランと変わらぬフツーの外食風景と相成るのでした。うひょー。おみゃーといふやつは...
 
3歳も4歳も良かったけど、もしかしたら5歳という年齢もなかなかおもしろいことが待っていそうだ。そして今日という日のことを忘れないようにここに記録しておくことにしよう。
 
おわり。