私のブログ

こどもの事とか虫の事とか

4歳の息子のカウントダウン坊ちゃん刈り。

 

私の息子の髪型はいわゆる「坊ちゃん刈り」というやつで、でも、坊ちゃん刈りというほどには刈り上げてはおらず、後頭部は耳よりちょっと下あたりの高さから、段になるような感じでうなじへと向かって短くなっていき、前髪はちょっとだけ丸みのあるパッツン。 

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散髪の担当は私で、夫婦どちらかが手先が器用だからやるかとかいう相談をしたわけではなくて、目のあたりまで垂れ下がった息子の前髪をどうしても切りたくて、たまたまそう思ったその時に息子のそばにいた私が勝手に散髪をはじめたのがきっかけとなり、今の担当に至ったというわけなのです。

はじめての散髪は息子がちょうどイヤイヤ期にさしかかったころでした。2歳に満たないくらいだったと思います。「散髪しようか?」「いやだ。」「どうして?髪の毛目に入っちゃうよ。」「いやだ。」「だったら散髪の間、トイストーリー見る?」「えっ!!だったらいいよ!」「よし!ありがとう!」「あと、おやつも!」「えっ?」「あと、はだかになる!」「えっ?」

長い前髪を目のあたりでブラブラ揺らす息子は経験したことのない散髪というものをなかなか承諾してはくれず、けれども、痛くない、怖くない、トイストーリー見る、おやつもある、裸になる、という条件の元であればと、いつのまにかコロッと態度を変えてよろこんで引き受けてくれたのです。

まずは息子の目のあたりをブラブラ揺れる前髪を早急に切り落とすべく、左手で前髪を持ち上げ、右手でハサミを横に入れていきます。左手に挟まりきらなかった細かい小さな毛がパラパラと全裸になった息子の腹や太ももに落ちていき、左手に残った黒が少しばかり薄い毛の束を「ほほ〜。」と眺め、これはまるで断髪式のようだなあ、新鮮だなあ、キューティクル美しいなあ、なんて思いながらはじめの一太刀には気持ちが入りました。私にとって人の髪の毛を切る行為というものは稀なことであり、息子の髪の毛ともなれば殊更にそのまま半紙に包んでしまいたい気持ちにかられるほどだったのです。

 

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息子が生まれたばかりの頃、私たち夫婦は息子の散髪をする時がきたら坊ちゃん刈りか丸坊主しかないよね、だって技術がないからね。と、数ある髪型をはじめからほとんどあきらめ、かといって床屋に連れて行っても迷惑がかかるかもしれないしということで、いつのまにかその二択についての議論を重ねていました。ただ、その時はバリカンを持っていなかったので丸坊主は無理か(持っていても丸坊主にしたかはわからないけれど)となり、坊ちゃん刈りにすることに。

今では息子の坊ちゃん刈りも10回以上の更新を遂げ、息子の髪が伸びているなと思いきや、時間があれば何の気なしに「髪の毛伸びてきたからちょっと切ろうか?」と始められるようにもなりましたが、最初の頃なんかは適当にそれっぽく切っていましたので、多少のザクザク感というのかガクガク感というのか、つまり失敗なんですけれどそういうのもありました。

 

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散髪を始めるときは息子の方から「ゴーバスターズのヒロムみたいな、かみのけにしてね!」と言ってきます。ゴーバスターズのヒロムというのは数年前のヒーロー戦隊のことなのですが、ふわっふわの髪型をしています。ですからそれを確認するまでもなく当然私には出来かねますので「ヒロムよりも、もっともっとかっこいいのにするからね!(いつもの坊ちゃん刈りだけどね!)」と話を盛って取りかかります。

そんな会話をこの数回の散髪の中でかわしながら、つい先日の散髪の時にもこの会話をかわし、また言ってるわ、といつものように心で笑いながら、けれどもなぜかいつもとは違うなんとも形容しがたい感覚が私の中に現れて、同時に、ああ、もうこの散髪も数えるほどしかないのかもしれないな。という寂しさを思ったのです。

今春、年中さんになった息子は夏には5歳になりますので保育園生活もあと2年弱。まだ2歳にも満たなかったあの頃の息子が5歳とは。なんという時の速さ。いつかの散髪の時には伸びても伸びても仕事や家事やと少しばかりそれを面倒に思ったこともありましたが、こうしてあと2年弱しかないともなれば、たかが息子の散髪といえども万感の思いにかられます。しかも来年、つまり6歳にもなれば息子自身からこんな髪型は嫌じゃ、スポーツ刈りにしておくれよ、床屋はどこじゃ、と責められるやもしれません。

そして親の手から少しずつ離れていく息子の成長をよろこび、そして少しだけ寂しくも思い、私も息子と共に5歳(育児歴)のお誕生日を迎えなければなりません。床屋までのカウントダウンを数え始め、息子の散髪に名残惜しさを感じながらも。

 

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先日の散髪の時。「ゴーバスターズのヒロムみたいな、かみのけにしてね!」 と言い放つ息子。「おっけー!ヒロムよりも、もっともっとかっこいいのにするからね!(いつもの坊ちゃん刈りだけどね!)」といつも通り盛って返す私。

散髪が終わり、「出来たよ。」と手鏡を渡してやると「うおー!かっこいー!」とパッツンになった前髪をふわっふわの髪型をしたヒロムに重ねて私を絶賛してくれる4歳の息子が、来年か再来年か、いつの日か「ぜんっぜん、ちがうじゃねーか!」と現実を見据えた時、財布を握りしめて床屋へと向かう日がやがては来るのかもしれませんが、それも仕方ありません。自然と今よりもずっと自我ってものが出てくるのでしょうから。だけど、それまでの間は私が息子の伸びた髪を毎度の如くパッツンのヒロムに変えてやりながら(それしかできないから)、床屋までのカウントダウンを思う存分楽しみたいと思うのでありました。でも夏になれば丸坊主っていうのもありかもしれないね。ちょっきん。

おわり。